大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

長崎地方裁判所 昭和62年(わ)343号 判決 1988年1月28日

本籍

長崎県壱岐郡芦辺町住吉後触六〇九番地

住居

同県壱岐郡郷ノ浦町坪触二一〇一番地

職業

真珠養殖業

山内利夫

大正一五年一〇月一七日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官久保田明広出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役二年及び罰金四〇〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間、被告人を労役場に留置する。

この裁判の確定した日から四年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、長崎県壱岐郡郷ノ浦町坪触二一〇一番地において真珠養殖業を営む者であるが、自己の所得税を免れる目的をもって、右事業の売上げの一部を除外し、仮名の定期預金としてこれを預け入れるなどの方法で所得を秘匿した上、

第一  自己の昭和五八年分の実際総所得金額が八〇七九万三六八二円あり、これに対する正規の所得税額が四〇八五万九八〇〇円であったにもかかわらず、昭和五九年三月七日、同町本村触字大里六二〇番地四所在の所轄壱岐税務署において、同税務署長に対し、自己の昭和五八年分の実際総所得金額が二七四二万二四四九円、これに対する所得税額が九二二万八一〇〇円である旨の虚偽の確定申告書(昭和六三年押第三号の1)を提出し、もって、不正の行為により、昭和五八年分の正規の所得税額と右申告税額との差額三一六三万一七〇〇円の所得税を免れ、

第二  自己の昭和五九年分の実際総所得金額が一億一一七七万九九七〇円あり、これに対する正規の所得税額が五八七六万七七〇〇円であったにもかかわらず、昭和六〇年三月一五日、前記壱岐税務署において、同税務署長に対し、自己の昭和五九年分の実際総所得金額が三二五五万八九〇六円、これに対する所得税額が一一四六万〇七〇〇円である旨の虚偽の確定申告書(同号の2)を提出し、もって、不正の行為により、昭和五九年分の正規の所得税額と右申告税額との差額四七三〇万七〇〇〇円の所得税を免れ、

第三  自己の昭和六〇年分の実際総所得金額が一億三二八二万七五一三円あり、これに対する正規の所得税額が七五六六万七一〇〇円であったにもかかわらず、昭和六一年三月一四日、前記壱岐税務署において、同税務署長に対し、自己の昭和六〇年分の実際総所得金額が三四四七万二八九八円、これに対する所得税額が一三五四万六五〇〇円である旨の虚偽の確定申告書(同号の3)を提出し、もって、不正の行為により、昭和六〇年分の正規の所得税額と右申告税額との差額六二一二万〇六〇〇円の所得税を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の大蔵事務官(福岡国税局収税官吏、以下同じ)に対する質問てん末書一三通

一  被告人作成の確認書

一  被告人の検察官に対する供述調書

一  検察官、被告人及び被告人の弁護人共同作成の合意書面

一  桑野義政、田口寛治、山内亨(二通)、石井百枝、日高俊仁及び山内美智子の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  長田光春の検察官に対する供述調書

一  大蔵事務官作成の報告書三通及び査察官調査書七通(ただし、昭和六二年八月三日付の分は判示第三の事実について)

一  小西健吉及び山内秀民各作成の各申述書

判示第一の事実について

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(山内利夫昭和五八年分)

一  押収してある昭和五八年分の所得税の確定申告書(山内利夫分、昭和六三年押第三号の1)

判示第二の事実について

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(山内利夫昭和五九年分)

一  押収してある昭和五九年分の所得税の確定申告書(山内利夫分、同号の2)

判示第三の事実について

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(山内利夫昭和六〇年分)

一  押収してある昭和六〇年分の所得税の確定申告書(山内利夫分、同号の3)

(法令の適用)

被告人の判示各行為はいずれも所得税法二三八条一項に該当するので、各所定刑中いずれも懲役刑及び罰金刑を選択し、なお罰金刑についてはいずれも情状により同条二項を適用してその免れた所得税の額に相当する金額以下とすることとし、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をし、罰金刑については同法四八条二項により判示各罪所定の右罰金額を合算し、その刑期及び金額の範囲内で被告人を懲役二年及び罰金四〇〇〇万円に処し、右罰金を完納することができないときは、同法一八条により金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとし、懲役刑については、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から四年間右懲役刑の執行を猶予することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 永松昭次郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例